今明かされる伝説のWindows XPプロダクトキー“FCKGW”の真実

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Windowsxp wallpaper

史上最も印象的なWindowsとして「Windows XP」を思い浮かべる方も多いかもしれません。

Windows XPでは製品の不正コピー対策として「Windows Product Activation(WPA)」が初めて導入されました。プロダクトアクティベーションは、ハードウェア構成に基づくIDとプロダクトキーを照合することで、正規ユーザーかどうかを判定する仕組みが採用されていますが、その仕組みを根底から揺るがす"事件"が初期段階で発生しています。

「FCKGW-RHQQ2-YXRKT-8TG6W-2B7Q8」というプロダクトキーが発売前に海賊版グループ「devils0wn」によって流出し、大きな問題になっていたのです。このキーは「Volume Licensing Key(VLK)」と呼ばれる企業向けの正規キーで、WPAの認証をスキップできる特権を持っていました。つまり、インストール時にこのキーを入力すれば、マイクロソフトに"電話する"必要がなく、即座にアクティベーションが完了してしまうのです。

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開発者が語る「致命的な漏洩」

このキーの存在は長らく都市伝説のように語られてきましたが、今回、Windowsの開発者であるDave Plummer氏がX(旧Twitter)で真相を語り「実際には"ハック"ではまったくなく、壊滅的な情報漏洩だった」と説明しています。技術的に突破されたわけではなく、内部資料や顧客向けメディアが外部に流出したことが原因で、人為的な管理ミスが招いた事件だったのです。

Plummer氏は、WPAの設計に深く関わった人物であり、ZIPフォルダやタスクマネージャーの開発にも携わったレジェンド的存在です。彼によれば、Microsoftは大口顧客向けに特別なインストールメディアとVLKを提供していたものの、そのリスクを過小評価していたとのこと。

当時はまだブロードバンドが普及しておらず、XPのISOファイル(約455MB)をダウンロードするには、56Kモデムで丸一日かかる計算でした。しかし、流出した「FCKGW」キーを利用した事前アクティベート済みのISOファイルが海賊版として出回り、熱心なユーザーたちはADSLなどを駆使して、海賊版XPを手に入れることになったのです。

今なお語り継がれる「FCKGW」の余波

このキーは後にブラックリスト化され、XPのService Pack 2以降では使用不可となりました(Microsoftのアクティベーションサーバーもとっくに停止しています)。しかし、レトロPC愛好家の間では今も語り草となっており、仮想環境でXPを再現する際に使われることもあるとのことです(当時のISOファイルがあれば使える可能性もある模様。

この事件は、技術的な防御がいかにして人間の判断ミスや信頼の崩壊によって破られるかを示す象徴的な例だといえそうです。

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