
Windowsに関するさまざまなトリビアを紹介しているMicrosoftのベテランエンジニアRaymond Chen氏は今回、OS/2共同開発時代に頻発した 「MicrosoftとIBMの文化的すれ違い」を象徴する小さな事件に注目しています。
この事件の舞台はIBMのフロリダ州ボカラトン事業所です。
あるMicrosoftのエンジニアが、ダイアログボックスで入力フィールドを移動するキーとしてTABキーを採用したところ、IBM側がこれに強く反発したことから物語が始まります。
「TABキーを使うな」から始まったエスカレーション合戦
当時、IBMの担当者はTABキー採用に納得せず、Microsoft側のマネージャーに判断を仰ぐよう要求します。しかし、Microsoftのマネージャーは「あなたがボカにいるのは、私がそこに行かなくて済むように判断するためだ」と返答し、現場のエンジニアはこれを企業向けに言い換え、「MicrosoftはTABキーの使用を支持します」と伝えいました。
これに対し、IBM側は上層部へとエスカレーションを続け、7階層上の副社長レベルから「TABキーには反対」という回答を引き出し、Microsoftに対して同格レベルの承認を求めてきたのです。
Bill Gatesの母はTABキーに興味がない
しかし、Microsoftは当時、非常にフラットな組織で、IBMのように「7階層上のVP」という概念が存在しません。最終的に、Microsoftのエンジニアが放った一言が、すべてを終わらせることになります。
Bill Gates’s mother is not interested in the TAB key.
Bill Gates の母は TABキーに興味がない。
IBM側はこれ以上エスカレーションできず、議論は終結。結果としてTABキーはそのまま採用されることになりました。
当時の両社の組織文化の違いが浮き彫りに
この小さな論争は、当時の両社の組織文化の違いを鮮やかに浮き彫りにしています。
-
IBM:階層的で厳格な組織構造
些細な UI のキー選択であっても、上層部の承認が必要になる。 -
Microsoft:現場の裁量を重視するフラットな文化
現場のエンジニアが判断し、マネージャーは細部に介入しない。
OS/2開発時代の両社の摩擦はよく知られていますが、このTABキー事件はその象徴的な一幕と言えます。
