長い歴史を持つオープンソースのテキストエディタ「Emacs」。
複数の開発者がEmacsの改良や保守に携わっていますが、Emacsのmasterブランチに取り込まれたある変更が物議を醸し出していることがわかりました。
開発者Eshel Yaron氏は、「Bad NEWS, Emacs」と題したブログ記事を公開し、Emacsのメンテナが複数のユーザーや開発者から寄せられた懸念を無視して強引で有害な変更を受け入れたと主張しています。
記事によると数週間前に、Emacsのmasterブランチに「レジスタプレビューの改善」を行うためのコミットが取り込まれます。これによりかつてはスムーズに行うことができたC-x r s
のようなコマンドが、面倒で苦痛を伴う混乱に変わったとのことです。操作したいレジスタのキーをタイプするだけではなく、ミニバッファが表示されるようになり、さらにReturnを押してレジスタの選択を確定する必要ができたからです。
同氏は、Emacsのレジスタは以前は完全なUXを提供していたものの、今後公開されるGNU Emacs 30では、変更を通知するNEWSの項目さえ存在しないまま消えてしまうだろうと指摘してます。
パッチに古い動作を戻すオプションを追加する提案も行われていたようですが、作成されたパッチはマージされることなく無視されます。変更が取り込まれて以来、Emacsのmasterブランチのユーザーからは変更の結果が原因となっている互換性の問題も報告されているものの、メンテナ達は頑として譲らない状況が続いているそうです。
同氏はEmacsのmasterブランチで変更が戻されない状況に業を煮やし、独自のブランチを作成し、当分の間自分のメインブランチを最新状況に保ち、自分の改良もこのブランチに対して行うと説明しています。
git clone git://git.eshelyaron.com/emacs.git # または git clone https://git.sr.ht/~eshel/emacs
Hacker Newsにはこの記事に関する議論が行われており、賛否両方のコメントが寄せられています。
個人的にも長年のEmacsユーザーですが、レジスタ機能はほとんど使ったことがなく、これを機会に使い方を勉強しようという気持ちになりました。