Qualcommは現在、Appleシリコンに対抗するプロセッサとして「Snapdragon X Elite」の開発を進めています。
今年の夏にはSnapdragon X Eliteを搭載したPCが登場することが確認されているなか、Qualcommのエンジニアが、新デバイスでエミュレーションを使用し、Windowsのx86/64ゲームがフルスピードに近い状態で実行可能であると主張している事がわかりました(The Verge)。
2024年のGame Developers Conferenceの「Windows on Snapdragon,a Platform Ready for your PC Games(Snapdragon搭載Windows、PCゲームのためのプラットフォーム)」と題したセッションで、QualcommのエンジニアであるIsam Khalil氏が説明した情報です。
Khalil氏によるとWindows on Snapdragonでは、開発者には3つの選択肢があるとのことです:
- ネイティブのARM64に移植する。QualcommのスケジューラはCPUの周波数を動的に下げることができるためCPUのパフォーマンスと消費電力を最適化することができる。
- ハイブリッド"ARM64EC"アプリを作成する。Windowsとそのライブラリ、およびQualcommのドライバはネイティブで実行するが、その他のアプリはエミュレートされ、ネイティブに近いパフォーマンスを実現することができる。
- ほとんど何もせず、x64エミュレーションを使ってゲームが動くようにする。
開発者はフルスピードを得るために、ゲームのコードやアセットを変更する必要はなく、またほとんどのゲームは、CPUではなくGPUがグラフィックのボトルネックになっているため、GPUの性能は影響を受けないとされています。x64とARM64間の変換または移行時にCPUの性能に若干の影響を与えるものの、それはコードのブロックが最初に変換されるときにのみ発生するとされています。
Qualcommは、DX11、DX12、Vulkan、OpenCL用のAdreno GPUドライバが存在し、マッピングレイヤーを介してDX9と最大OpenGL 4.6もサポートする予定だとしています。ただしカーネルレベルのアンチチートドライバに依存するゲームはエミュレーションでは動作せず、今のところ、AVX命令セットを使用するゲームも動作しないなど一部の制限は残されています。
Khalil氏は動作する特定のゲームの名前や、テストしたゲームの数については言及しませんでしたが、Steamのトップゲームをすべてチェックしており、ほとんどのタイトルが動作するはずだと確信していると述べています。
Snapdragon X Elite搭載デバイスでゲームがどの程度動作するのか具体的な情報はわかりませんが、あらたなゲーミングデバイスが誕生する可能性はありそうです。