SalesforceのAI活用がもたらした波紋: 効率化の裏で揺れる雇用

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SalesforceのCEO、マーク・ベニオフ氏がポッドキャスト番組「The Logan Bartlett Show」で語った内容が、テック業界に衝撃を与えています。同氏は、カスタマーサポート職について「9,000人から5,000人に減らした。もうそんなに人手はいらない(I need less heads)」とAIによる業務効率化を理由に、約4,000人を削減したことを明らかにしたのです。

この言葉は、効率化の成果を強調する一方で、人間らしさを欠いた冷淡な響きを持ち、業界内外から批判を浴びています。

Salesforceは「Agentforce」と呼ばれるAIツールを導入し、サポート業務の約50%を自動化しました。サポート案件の減少により、エンジニア職の補充も不要になったとのことです。こうした動きはSalesforceだけに限定されたものではなく、2025年の米国テック業界では8万件以上のレイオフが報告されており、AIによる雇用削減が広がっていると見られています。

アナリストのエド・ジトロン氏はCNBCの取材に対し、「成長至上主義が人々の生活を破壊し、製品の質も低下させる」と批判。人材コンサルタントのローリー・ルッティマン氏もCNBCで「AIによる雇用喪失は全米で起きている」と語り、スキルの再習得を推奨しています。

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経済的な側面:AI導入と雇用削減の背景にあるマクロ要因

Salesforceのような企業がAIによる効率化を進める背景には、技術革新だけでなく、パンデミック後の経済構造の変化があると考えられています。

コロナ禍ではオンライン需要が急増し、テック企業は人材を大量採用しました。しかし、需要のピークが過ぎた現在、当時の人員規模は「過剰」と見なされるようになったのです。

さらに、米国ではインフレ抑制のために金利が引き上げられ、ローンやクレジットのコストが上昇しています。その結果、消費者の購買力が低下し、企業の売上も伸び悩んでいます。企業は「効率化」や「コスト削減」を迫られ、AIによる業務自動化が加速しているのです。

なお、「所得が減ればインフレは落ち着き、金利も下がる。するとローンが借りやすくなり、貯蓄から投資へ資金が流れ、経済が再び成長し始める。そして雇用も回復する可能性がある」という見方もあります。

AIによる雇用削減は単なる技術的な選択ではなく、経済の循環と企業の生存戦略が絡み合った複雑な現象だといえそうです。

[via Neowin]

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