
今や開発者にとってAIコーディングツールはなくてはならない存在となりつつあります。しかし便利なAIツールの普及が、オープンソースの持続性に深刻な影響を与え始めているのかもしれません。そんな問題提起が研究者やOSS関係者から相次いでいます。
まず注目を集めているのは、Tailwind LabsのCEO、Adam Wathan氏による「AIコーディングツールの普及によってドキュメント閲覧数が2023年初頭から40%減少した」との報告です。ドキュメントは商用製品への導線でもあるため、閲覧減は売上減に直結し、実際に同社はスタッフを3名解雇したと述べています。
研究者が指摘する「Vibe Coding」の構造的問題
また、中央ヨーロッパ大学などの研究者による論文 「Vibe Coding Kills Open Source」は、AIがOSSに与える影響を経済モデルから分析しています。

AIはOSSライブラリを自動的に利用するため、開発者とメンテナの接点が減ることになります。OSS の多くは「ユーザーとの関わり」から価値(寄付、フィードバック、評価、採用機会など)を得ているため、その接点が失われると、新規OSSの立ち上げが難しくなり、既存プロジェクトの質も低下する可能性があるとの主張です。
Stack Overflowの質問数がChatGPT登場後に急減したデータに関しても、研究者らは「人間同士の関わりが減っている」兆候として挙げています。
「高品質で大規模な OSS は存続できる」としつつも、小規模プロジェクトはコールドスタート問題が深刻化し、モチベーション維持が難しく、無名の開発者が離脱する可能性が増加すると指摘しています。
この問題の解決策として、AIモデルがOSSを利用した量を計測し、Spotifyの再生回数のようにOSS開発者へ収益を分配する仕組みを提案しています。LLMの推論は少数の大手企業が担っているため、技術的には実現可能だとしています。
OSS コミュニティの声:まだ結論を急ぐべきではない?
Flaskの作者Armin Ronacher氏は、AIにより低品質な貢献が増えたこと認めつつ、しかし強いメンテナがいるプロジェクトはむしろ強化される可能性もあるとし、「まだ結論を出すには早い」と身長な姿勢を示しています。
まとめ: AI時代のOSSは転換点に?
AIコーディングは生産性を押し上げる一方で、OSSの基盤である「人間同士の関わり」を弱め、その結果としてOSSの持続性を揺るがす可能性が指摘されています。ただし、これはまだ始まったばかりの変化で、今後、AI企業・OSSコミュニティ・ユーザーがどのように新しいエコシステムを築くかが問われています。
[via The Register]
