35年前に開発されたArmコンピューター向けのオペレーティングシステム「RISC OS」のメンテナンス・開発が現在も続けられていることがわかりました(The Register)。
RISC OSの歴史は古く、1987年にAcornが発売したArchimedes A305/A310に搭載されていた「Arthur」というオペレーティングシステムが元となっています。ArthurはBBC BASICで実装された試作グラフィックデスクトップを搭載し、1989年にリリースされたバージョン2で「RISC OS」と改名されます。
RISC OSのフォークの1つは、Acorn時代のArm26ビットモードをまだサポートしており、現在では主に商用Virtual Acornエミュレータで動作しています。
もう一方のブランチは、最近のArmチップの32ビットモード向けに設計されていて、RISC OS Developmentsが所有し、2018年に完全にオープンソース化されました。開発は RISC OS Open Ltd(ROOL)が行っており、Titaniumデスクトップなど現在のArmハードウェア向けのダウンロードを提供しています。
RISC OSは、RPCemuと呼ばれるエミュレーターや、Raspberry Pi全機種で動作するのRISC OS Directを使用して動かすことができます。
RISC OS Developmentsは現在もOSの新機能の開発に取り組んでおり、最近はOpenBSDから派生し、IPv6をサポートした新しいTCP/IPスタックをリリースしています。有料の支援者向けには新しいRISC OS用ウェブブラウザ「Iris」の開発が進められています。IrisはRISC OSのルック&フィールを持ちながら、WebKitエンジンを使用して、最新のWebとの互換性を高めるネイティブアプリケーションになる予定です。
RISC OSは1980年代のOSであるため、マルチコアプロセッサがサポートされていないという制限が存在しますが、この問題を解決するためにさまざまな実験的な取り組みが行われています。
1980年代に生まれ、現在も活発にメンテナンスされているOSは、「RISC OS」のほかAppleの「macOS」だけだと指摘されています(興味深いことにmacOSもAppleシリコンというARMベースのチップ上で動作しています)。