
CursorのCEOであるMichael Truell氏が、GPT‑5.2を使って数百体のAIエージェントを利用してブラウザを1週間で作成したという大胆な実験を公開しました。結果は「3百万行以上のコードが生成され、ブラウザとして"ある程度"動くものが完成」ということですが、この成果には賛否が分かれています。
We built a browser with GPT-5.2 in Cursor. It ran uninterrupted for one week.
It's 3M+ lines of code across thousands of files. The rendering engine is from-scratch in Rust with HTML parsing, CSS cascade, layout, text shaping, paint, and a custom JS VM.
It *kind of* works! It… https://t.co/pHL5CgZCfK pic.twitter.com/jA6wDdwRif
— Michael Truell (@mntruell) January 14, 2026
このプロジェクトでは、GPT‑5.2エージェントが24時間体制で1週間稼働し、300万行以上のコード、数千ファイルを自動生成しています。HTMLパーサー、CSSレイアウト、テキスト描画、独自JavaScript VMなど、ブラウザの基礎機能を実装し、実際のコードがGitHubで公開されています。
特に注目されているのは、AI同士の協調作業を成立させた「階層型マルチエージェント構造」で、エージェントは以下役割分担によって作業を行っています。
- Planner:タスクを分解
- Worker:実装に専念
- Judge:進捗を評価
この仕組みで、初期の「AI同士が迷って動けない」問題を解消したとのことです。
なぜ評価されているのか
ブラウザは「HTMLを表示するだけのアプリ」ではありません。実際には、以下のような極めて複雑な処理の集合体です。
- HTML/CSSのレンダリング
- JavaScript実行
- セキュリティ管理
- メモリ管理
- ネットワーク処理
- グラフィック描画
人間の開発者が何年もかけて作るレベルのソフトウェアを、AIが1週間で形にした点は大きな成果といえます。
でも「本当に使えるの?」という疑問
とはいえ、実際に生成されたブラウザはTruell氏自身が「It kind of works!(一応動く)」と語るように、完成度はまだ低いようです。
300万行は多いように思えますが、Chromium(3500万行)に比べると10%にも満たない規模で、拡張機能、セキュリティ、アクセシビリティなど周辺機能がほぼ未実装の状態です。
Hacker Newsでは「JavaScriptエンジンの場所すら探しにくい」と指摘されていて、コードの品質に疑問の声が寄せられています。生成は早くても、修正・改善は別問題で、今後の保守性に問題を抱えていると指摘されています。
また目標設定や役割分担は人間が行っていることから、AIが完全に自律してブラウザを作ったわけではないということを忘れてはいけません。
結論:実験としては成功、実用化はまだ遠い
Redditでもこの実験に関す議論が行われており、「AIがブラウザを作った」というより「AIが3M行のゴミを生成した」のではなど、辛辣なコメントが寄せられています。
「実用レベルの品質に到達するには、まだ多くの課題がある」ことは確実ですが、「AIが大規模ソフトウェアを自律的に構築する未来」へ向けた非常に大きな一歩かもしれません。
