
Appleシリコン搭載MacへのLinux対応を進めるAsahi Linuxプロジェクトが、最新の進捗報告を公開しました。
報告によると、Asahi LinuxはM3チップに関して、CPUコアの初期化や一部周辺機器の起動など、最低限のブート処理が可能な段階とのこと。現時点では「点滅カーソル」までしか起動できず、実用には程遠い状態のようです。主に低レベルのリバースエンジニアリングに活用されており、今後の改善が予定されています。
また、Appleシリコン向けLinuxの起点となる重要なソフトウェア「m1n1」ブートローダーのRustへの移行も進められています。安全性・保守性・論理の正確性を高めるために、CからRustへの書き換えが行われており、Rust化により、将来的な開発の安定性とセキュリティ向上が期待されています。
ゲーム動作の改善も進められており、Wineを使って、Hollow KnightやNieR:Automataといった64bitゲームの動作確認が行われています。M1 Pro上のGentoo環境で、muvmなしでWine経由で起動することができ、FEX DLLの自動ビルドも可能になったとのことです。
Linux 6.17では、2022年から議論されていたSMC(System Management Controller)関連のドライバが、GPIO・再起動コントローラ含めてマージされました。Apple M2 Pro / Max / Ultra向けのDevice TreeがLinux 6.18に含まれる予定です。
Appleの閉鎖性とLinuxコミュニティの挑戦
AppleはM1以降、世代毎に内部アーキテクチャや周辺機器の構成、ブートプロセスなどに変更を加えています。Appleがハードウェア仕様を公開していないなか、毎回リバースエンジニアリングから始めるAsahi Linuxチームに対し、Hacker Newsには、その驚異的な努力をたたえるコメントが寄せられています。
Appleシリコンの性能の素晴らしさは誰もが認めるところですが「、自由にOSを選べない」現状は、ユーザーの選択肢を狭めているとも言えます。Asahi Linuxの活動は、そうした制限に対する静かな抵抗と言えるかもしれません。
