初心者向けのプログラミング言語と人気を集めたBASIC言語。その後登場した多数のプログラミング言語と比較した場合、否定的に扱われることもありますが、BASICの魅力は言語機能以外にもあったとソフトウェアエンジニアGuillaume Chereau氏が主張しています。
同氏のブログ記事「BASIC was not just a programming language」によると、BASICが使用されていた当時(家庭用コンピュータの第1波の時期)、BASICは単なるプログラミング言語ではなく、IDEに似た完全な開発環境を実現していたとのこと。
当時のコンピュータの使い方とは現代とは大きく異なり、コンピュータの電源を入れると、すぐにBASICプロンプトが表示されました。インターフェイスは、ターミナルであり、テキストエディタであり、デバッガとしても活用できたのです。
コマンドを直接入力し、対話型シェルのように動作するため、構文を学ぶのに最適でした。
Ready X=10 Ready PRINT(1/X) 0.1 Ready PRINT LEN("hello") 5
プログラムを書きたい場合にテキストエディタを使う必要ははなく、数字で始まる行を入力すると、自動的にプログラムに追加され、その後、runコマンドを使ってプログラムを実行することができました。
10 X=10 20 PRINT X,EXP(X) run 10 0.1
プログラムを書きながら、いつでも「terminal」コマンドで、結果を直接チェックすることができ、適切な行番号を指定すれば、自動的に正しい位置に命令が追加され、番号が足りなくなったらrenumで行番号を付けなすこともできました。
リスト機能を使ってコードをリストアップすることも可能で、他にも行を編集したりプログラムをディスクに保存したりするコマンドが存在したそうです。
プログラムのデバッグも非常に簡単で、実行中にESCキーを2回押すとプログラムが停止し、すべての変数を調べたり変更したりすることができ、これにはスタックやローカル変数がないというBASIC言語の特徴によって可能になったとのこと。
実際のコンピューターでどのように見えるのか以下の動画が紹介されています。
現在のプログラミング言語で利用できるREPL(Read-Eval-Print Loop)のようなイメージですが、ハードウェアと一体化しており、さらに使いやすかったのかもしれません。
Hacker Newsでも当時を知る(あるいは知らない)ハッカー達がこの主張に関する議論を行っています。