iPhone 6s/6s Plusで採用されている「A9」チップ。SamsungとTSMCが供給元となっていますが、ベンダーの違いによってバッテリー持続時間に違いがあるのではないかと騒がれています(いわゆるChipgate問題)。
この問題に対し、米国で消費者情報を提供しているConsumer Reportが乗り出しました(The Loop)。
Consumer Reportは、厳正なテスト設備やテスト方法を採用している事でおなじみですが、はたして結果はいかに?
テスト条件
まずはじめに、Consumer Reportは、App Storeからダウンロードできる Lirum Info Liteアプリを使ってチップの判定を行いました。アプリでチップIDを表示し、N71mAPと表示されたものをTSMC製とし、N71APと表示されたものをSamsung製としてテストを実行しています。
Lirum Device Info Lite - System Monitor
カテゴリ: ユーティリティ
価格: 無料
テストの環境を同一にするために、(キャリアによってバッテリーの差はないと考えられるものの)T-Mobile製のiPhone 6sを2台使用。iOSはどちらも9.0.2で、接続設定、表示設定、通知設定、アプリの設定などが同じに揃えられています。
テスト方法
Consumer Reportが行ったテストは、まずセルラーネットワークに接続状態でiPhoneのバッテリーがどれだけ持続するかを計測するというもの。Band 5の周波数を使い、10dBmの強度で接続し続けるという条件でテストを実行したところ、バッテリーの差は2%以内に収まりました。
テストは外部環境の影響を受けないように、携帯基地局のエミュレーターや、電波を遮断するRadio Frequency Isolation chamberを用いて行われています。
もう一つのテストは、Wi-Fi経由で複数のWebサイトをブラウジングしたり、音楽を再生したりしてバッテリー持続時間を計測するというものです。
Amazon、Amazon、CNN、Yahooといった20以上のWebサイトをブラウジングしつつ、同時に Taylor Swift、Katie Perry、Florenceなどの曲をミュージックプレイヤーでループして流し続けるというもので、11時間のテストの結果、こちらは1%の差に収まっています。
結論: 明確な差はない
Consumer Reportはこの結果を持って、製造元によるバッテリー持続時間や温度の差はないと結論づけています。もともとGeekBenchのようなCPUを酷使するベンチマークテスト以外ではそれほど差はなく、Appleの主張を裏付ける結果といえそうです。