かつてはviとエディタ戦争を繰り広げるなど高い人気を集めていたEmacsですが、VSCodeなど新世代エディタの台頭もあり、最近は以前ほど人気があるようにはみえません。
今回、このEmacsの現状や将来性を考察したブログ記事「Is Emacs Dying?」が公開され、Hacker Newsで注目を集めています。
記事はRedditのスレッド「Is Emacs dying?」に対応して書かれたもので、筆者のjcs氏は、Emacsが嫌いで真剣に使ったこともないような人たちが、Emacsは使われなくなったと宣言することが本当に嫌いだとし、このような主張が行われるようになった原因は2つの問題を混同していることにあると指摘しています。
- Emacsの開発や改良は止まったのか、遅くなったのか
- ユーザーベースはかつてと同じくらい大きいのか。成長しているのか、それとも縮小しているのか?
最初の質問に対する答えは明確に「ノー」で、理由としてorg-modeやmagit、ネイティブコンパイ、Treesitter、LSP、その他数多くの改良が常に行われていることが理由として挙げられています。最近Emacsは、年に1回程度のメジャーリリースと定期的なマイナーリリースが行われていて、新機能の導入は最近むしろ加速しており、開発が鈍化したり停滞したりしているわけではないからです。
2番目の質問に対する答えは難しいものの、Emacsの使用率がユーザーベースに占める割合はたしかに縮小している印象があり、それは、選択肢が増えたほかに、ユーザー層の性質が変わったことが原因だと説明しています。
かつてコンピュータが普及する前は、プログラマーになる人はそれを天職として、自分の技術を磨くために努力を惜しみませんでした。そのなかにはEmacsやviのような難易度の高いエディタをマスターするために時間を費やすことも含まれていました。最近もこのような熱心な開発者は存在するものの、仕事として最小限の努力で乗り切るべきだと考える人も増えてきていて、そのような人はEmacsを塚原図、VSCodeで手っ取り早くすますようになるからです。
記事は、Emacsの終焉が間近に迫っているという意見を少しも心配していないとまとめられていますが、ユーザーの数が減少傾向にあるのは否定できないのかもしれません。
Hacker NewsではEmacsとviの比較が行われており、viがEmacsと比較して人気を保っているのは、Neovimの存在や、ssh経由でも高速に起動する利便性にあるとの指摘が行われています。