Linuxのコードを30行書き換えるだけでデータセンターの電力使用量が最大30%削減

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データセンターは膨大な電力を消費するため、電力使用量の削減が大きな課題となっています。

大量の電力消費はコストに影響するだけでなく、地球環境にも悪影響を与える可能性があると指摘されているなか、最近のLinuxカーネルカーネルに、データセンターの電力消費を最大30%削減できる可能性がある改良が導入されていることがわかりました(IEEE Spectrum)。

データセンターの電力消費量は、特にネットワークトラフィックを処理する際、CPUの負担が大きくなった時に増加することが知られています。従来のLinuxカーネルは、ネットワークパケットの受信時に、割り込み処理によってパケットを処理するとともに、一定間隔でCPUがポーリングを行い着信パケットの確認を行っていました。このポーリング処理は、高トラフィック時には有効ですが、低トラフィック時にも継続されるため、不要な電力消費を引き起こしていました。

ウォータールー大学のマーティン・カーステン教授と元学生のピーター・カイ氏は、この非効率なプロセスを改善する方法として、ネットワークの負荷に応じてポーリングと割り込み処理を動的に切り替える手法を考案します。

これは以下のように動作します:

  • 高トラフィック時 → ポーリングを活用して迅速にデータを処理
  • 低トラフィック時 → ポーリングを停止し、割り込み処理のみで対応

この変更はLinuxカーネルのコード約30行を修正するだけのものですが、電力消費を削減し、効率的な処理を可能とします。

改良されたコードは、Linuxカーネルのバージョン6.13(2025年1月リリース)に組み込まれていて、特にデータセンターのようなネットワーク負荷が時間帯によって変動する環境では、電力消費量の削減が期待されています。研究チームは、異なるシナリオやワークロードでLinuxカーネルの変更をテストし、最大30%の電力削減が可能であることを実証していますが、30%の削減はネットワーク処理に特化したアプリケーションにおける最適なケースであり、他の処理が多いアプリケーションでは削減率が低くなる可能性があります。

今後、さらなる最適化や適用範囲の拡大が期待されており、クラウドサービスプロバイダーFastlyのエンジニアであるジョー・ダマト氏も、この技術を広めるためにLinuxカーネルのネットワーキング関連のカンファレンスで発表を予定しています。カーステン教授も今後さらなる効率化技術の開発に取り組む予定です。

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