
オープンソースツールの「nv-uefi-unlocker」を利用し、NVIDIA GeForce RTX 20/30//40シリーズに設けられているAI演算性能の制限を解除することで、一部環境でFP16演算性能が最大65%向上したと報告されています。
GeForce RTXシリーズでは、AI処理で利用されるFP16やBF16などのTensor演算について、一部の演算モードが意図的に抑制されています。一方で、同系統のシリコンを利用する業務向けGPUではこうした制限がなく、より高いTensor演算性能を発揮できます。
GeForce RTXのこの制限を解除し、Tensor Coreが本来持つ性能をより引き出せるようにツールが最近注目を集めています。
USBメモリだけで利用できる新しいアプローチ
従来のGPU Unlock系プロジェクトはLinux向けが中心で、導入にはカーネルモジュールの利用など比較的ハードルが高い方法が必要でした。
今回の「nv-uefi-unlocker」は、FAT32形式のUSBメモリからUEFI環境で起動し、Windowsが立ち上がる前に必要な処理を実行します。GPUのVBIOSを書き換えたり、ドライバーを改造したりする必要はありません。そのため、従来よりもWindowsユーザーが試しやすい形になったことが大きな特徴です。
この「ハック」は永続的なものではありません。ツールはOS起動前の段階で一時的に設定を書き換える仕組みであり、電源を切ると効果は失われます。そのため、PCを再起動するたびに再度ツールを実行する必要があります。VBIOSの書き換えが不要な反面、「毎回実行が必要」というトレードオフがあるわけです。
実際の性能向上はどの程度?
ツールを利用したことで、RTX 4060 Laptop GPUで、FP16演算性能が約65%向上した事例が確認されています。また、過去に報じられた関連プロジェクトの検証では、RTX 4090でTensor演算性能が理論上ほぼ2倍、RTX 3090 Tiでは特定の行列演算性能が最大80%向上したケースもあります。

ただし、これは主にTensor Coreを集中的に利用するAIワークロードの話です。理論性能が大きく伸びても、実際のAIアプリケーションやLLMの生成速度が同じ割合で向上するとは限りません。メモリ帯域など別のボトルネックが存在するためです。
まとめ
「nv-uefi-unlocker」は、これまで主にLinux環境で進められていたGeForceのAI性能解放の取り組みを、Windowsユーザーにも広げる可能性を持つプロジェクトです。USBメモリから起動するだけで利用でき、ドライバー改造やVBIOS書き換えを必要としない点は大きな魅力でしょう。
非公式ツールであることや、再起動ごとに実行が必要な点には注意が必要ですが、ローカルAIユーザーにとって興味深いニュースと言えそうです。
[via Tom's Hardware]
