
Microsoftは長年、Windowsの互換性維持を重視してきました。古いアプリを壊さないための配慮はユーザーにとって安心材料である一方、開発側にとっては新機能の展開を遅らせる足枷になりえます。
しかし、その状況がAIによって大きく変わりつつあります。
MicrosoftはGitHub Copilotを利用した「Modernize」機能を使い、古い.NET Frameworkアプリをほぼ自動で.NET 10へアップグレードできることを紹介しました。
従来ならコード全体を手作業で見直す必要がありましたが、AIがプロジェクトを解析し、変更点を洗い出し、アップグレード計画まで自動生成します。
開発者はその計画を確認して承認するだけで、AIがタスクを順番に処理していきます。これにより、アプリの互換性を維持したまま最新の機能を導入することが以前とは比較にならないほど簡単になるのです。
アプリの近代化はどう進むのか

デモで使われたBookCatalogは、書籍の一覧・追加・編集・削除ができるだけの典型的なCRUDアプリです。古いWindows Formsと.NET Frameworkを使っているため、本来なら最新化には多くの手作業が必要となります。
しかし Copilot Modernize を使うと、流れは驚くほどシンプルになります。具体的な手順は以下の通りです。
Visual Studio で右クリック →「Modernize」

Visual Studioでソリューションを選択し、右クリックから「Modernize」を選びます。すると、AIがプロジェクト全体をスキャンし、古い API、非推奨コード、古いパッケージ参照などを自動で検出します。
AIがアップグレード計画を自動生成
検出した問題点をもとに、AIがアップグレード計画を自動で作成します。計画には以下のような具体的な内容が含まれます。
- .NET 10への移行
- 古いAPIの置き換え
- パッケージ参照の更新
- プロジェクトファイルの最新化
開発者は内容を確認し、必要なら編集できます。

AIの作業が完了したら、アプリケーションを起動してテストを行うことができます。
UIはそのまま残る
AIは内部コードだけを最新化し、UIのデザインには手を出しません。そのため、アプリの見た目や使い勝手を壊さずに内部構造だけを刷新できます。UIのリニューアルが必要なら、開発者が自分で行うという明確な役割分担になっています。
Windows開発に波及するAIツール群
MicrosoftはWindows開発者向けのAIツールを拡充しています。
例えば、WinUIのエージェントプラグインは、GitHub CopilotやClaude Codeに対応し、WinUI 3アプリの新規開発から既存アプリの刷新まで一気通貫で支援します。
UIテストを自動生成・実行するAIテスト機能も用意されており、Windows 11がAIネイティブOSへ向かう流れがより明確になっています。
古いWindowsアプリがそのまま残る時代の終わりへ
AIによる近代化によって、何十年も前に作られた巨大アプリがワンクリックで最新化できるわけではありません。MicrosoftもAIの提案をチェックポイント方式で確認することを推奨しています。
それでも、今回のデモは、レガシー刷新の最も面倒な部分をAIが肩代わりできることを示しました。Windows 11がAI主導のOSへ進化する中で、開発者は古いコードベースを維持する負担から徐々に解放され、より創造的な部分に集中できるようになるかもしれません。
