
Wine開発プロジェクトは1月13日(現地時間)、「Wine 11.0」をリリースしました。
Wine(Wine Is Not an Emulator)は、LinuxやmacOS、BSDなどの非Windows環境でWindowsアプリケーションをそのまま動かすための互換レイヤーです。
WindowsのAPI(Win32/Win64)をOSネイティブのAPIに翻訳する仕組みで動いており、仮想マシンのようにOS全体を起動する必要がないため、軽量で高速なのが特徴です。
新WoW64アーキテクチャの完成
今回のリリースで最も大きな変化は、Wine 9.0から実験的に導入されていた新WoW64アーキテクチャが正式に完成したことです。従来のように32bitと64bitのバイナリを分けて扱う必要がなくなり、単一のコマンドで両方のアプリケーションを扱えるようになりました。16bitアプリケーションもこの新アーキテクチャ上で動作し、環境構築の複雑さが大幅に軽減されています。
また、Linuxカーネル6.14以降で利用可能なNTSyncがWine 11.0で本格的に活用されるようになりました。Windowsの同期プリミティブをカーネル側で処理できるため、マルチスレッドアプリやゲームの動作がより滑らかになります。
グラフィックス周りも大きく刷新され、OpenGL描画はOSMesa依存からEGLベースへ移行しています。Vulkan 1.4への対応や、Vulkan Videoを利用したDirect3D 11のH.264ハードウェアデコードなど、最新技術が積極的に取り込まれています。
WaylandでもクリップボードやIM、シェイプウィンドウなどの改善が進み、X11依存からの脱却が着実に進行しています。
周辺機器・マルチメディアの互換性向上
周辺機器の対応も強化され、hidrawを使ったジョイスティック対応の改善やForce Feedbackの向上、Bluetoothのスキャン・ペアリング・通信のサポートなどの改良が行われています。スキャナについてもTWAIN 2.0が実装され、64bitアプリからの利用が可能になるなど、業務用途にも嬉しい進化が見られます。
マルチメディア関連では、DirectDrawの高速化やGStreamerの対応拡張、DirectMusicのSoundFont対応強化などが行われ、古いアプリケーションから最新のものまで幅広い恩恵が期待されます。
開発者向けの新機能としては、巨大PDBファイルに対応した新しいローダー、NTシステムコールのトレース機能、WinRTメタデータ生成機能などがあります。WPFやXNA4といったフレームワークの互換性も進み、.NETアプリケーションの動作範囲がさらに広がっています。
まとめ:Wine の基盤が一段階進化したリリース
Wine 11.0では、新WoW64の完成、NTSyncの統合、Vulkanベースの描画強化など、今後のWineの発展を支える基盤が整えられました。互換レイヤーとしての成熟度が一段階上がっています。
| タイトル | Wine 安定版 | |
|---|---|---|
| 公式サイト | https://www.winehq.org/ | |
| ソフトアンテナ | https://softantenna.com/softwares/2051-wine-stable | |
| 説明 | WindowsAPIをエミュレートしてWindowsアプリを実行するソフトウェア。Linux/Macに対応。 |
