Windows 11のUIフレームワークであるWinUI(Windows UI Library)が、さらなるオープンソース化に向けて動き始めました。MicrosoftはGitHub上での開発透明性の強化を掲げ、今後6ヶ月間で段階的に開発環境を開放する予定です(Neowin)。
WinUIは、Windowsのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を構成する基盤ライブラリで、最新のWindowsアプリ開発に必要なUIコンポーネント群(ボタン、ウィンドウ、アニメーションなど)を提供します。既にWinUI 3を通じてWASDK(Windows App SDK)に組み込まれており、UWPやWin32アプリからも利用可能となっています。
WinUIのオープンソース化は完全ではなく、多くの開発者がコードの公開と貢献機会を求めていましたが、WinUIはWindows内部のプロプライエタリな層と密接に連携しており、完全な公開は技術的にも法的にも一筋縄ではいかないとみられていました。
Microsoftも、「スイッチを切り替えるような一発公開ではなく、段階的な分離と調整が必要」と説明し、以下のような計画を打ち出しています。
フェーズ | 内容 | 技術的意義 |
---|---|---|
Phase 1 | WASDK 1.8(8月末)リリース後、GitHubへのコミットミラー頻度を増加 | Microsoft内部の開発進捗を開発者が可視化できるようになる |
Phase 2 | 外部開発者がGitHubリポジトリをローカル環境でビルド可能に | セットアップ手順・依存関係ドキュメントも公開。環境構築のハードルが低下 |
Phase 3 | プルリクエスト(PR)提出やローカルでのテスト実行が可能に | テスト基盤の公開と非公開依存コードの切り離しが進行中 |
Phase 4 | GitHubを開発の中心に移行。内部ミラーは廃止 | 課題管理やコミュニティとの協働が正式にGitHubベースになる |
Microsoftは開発者に対して「明確なIssue報告や既存の提案への投票」を推奨しています。GitHub上の進捗は専用ボードで追跡可能で、技術ドキュメントなども順次整備予定だとされています。
開発者の疑念
この発表に対し、Hacker Newsでも近年のMicrosoftの開発体制に対する議論が行われています。
Windows 11ではネイティブなUIアプリが減り、WebViewを多用する傾向が強まっていることへの不満や、WinForms、WPF、WinRT、UWP、WinUI など多くの UI フレームワークが存在し、Microsoft が長期的なサポートや方向性を示していないことへの批判の声が寄せられています。
WinUI 3 に関してもパフォーマンスや機能不足の声が多く、「開発者が信頼できない」との厳しい意見もあります。オープンソース化に対しても「情熱ある開発者による無償労働を期待しているだけ」との見方もあり、Microsoft の本気度に疑問が呈されています。
Windowsでは、長らく決定版のUIライブラリが不在の状態で、開発者の不満がくすぶり続けている状態ですが、Microsoftはこの問題を解消できるのでしょうか?