
LWN.netによると、LinuxカーネルにおけるRust導入は「実験」段階を終え、今後はカーネルのコア技術の一部として正式に導入されることが決定したことがわかりました。
2025年のMaintainers Summitで合意されたもので、Rust for Linuxチームの努力が大きな成果を上げたことを示しています。

Linuxカーネルは30年以上C言語によって書かれてきましたが、メモリ管理の難しさからバッファオーバーフローやポインタ管理の不具合などの脆弱性が頻発していました。Rustは言語の機能によってメモリ安全性を保証できるため、カーネルの脆弱性の約2/3を占めるメモリ関連バグを減らせる可能性があることが期待されています。
また、Cに比べてモダンな言語であるRustを採用することで、新しい世代の開発者が参加しやすくなるというメリットもあるとみこまれています。
Rustの導入に対してはカーネルのメンテナから反対の意見が寄せられることもありました。「カーネルの複雑化」や「学習コスト増大」を招くとの主張で、「Rust vs C」の議論は宗教論争のように過熱したこともあり、「vi vs Emacs論争」を思い出すとLinus氏自身が例えています。
Linus Torvalds氏は、当初Rust導入議論に積極的には関わらず、様子見の姿勢でしたが、Linux v6.1でRustサポートを取り込むPull Requestを承認し、「Rustを拒否しない」明確な意思表示を行いました。2025年には「メンテナはRustを学ぶ義務はないが、Rustコードを単に“自分のCコードの利用者だから”という理由で拒否することはできない」と明言し、「Rustを使いたい人は使えばいい。ただし反対派が妨害することは許さない」という調停的なスタンスを明確にします。
Rustの正式導入により、Linuxが今後さらに進化していくことになるのか注目を集めそうです。
