Asahi Linuxプロジェクトは2月13日、プロジェクトリーダーのHector Martin氏が辞任したことを発表しました(公式ブログ)。
Martin氏の辞任後もプロジェクトは存続し、7人の後任者が平等な権限を有する体制で開発は継続されます。Asahi Linuxプロジェクトは、この出来事を、優秀な個人ではなく、開発者の出入りがあってもプロジェクトを存続させることができる持続可能なプロジェクトを構築する機会としてとらえていると説明しています。
Asahi LinuxはAppleシリコン搭載Mac向けのLinuxを開発するプロジェクトで、これまでにオーディオ、ウェブカメラ、グラフィックアクセラレーション等のサポートなどを実装した実績を持っています。
Hector Martin氏がプロジェクトリーダーを辞任した理由は、バーンアウトやLinuxカーネルにRustを組み込む作業に対する反対意見、ユーザーからの過剰な要求、嫌がらせなどが理由だとみられています。
Martin氏は、Rustがより安全で効率的な言語であると主張し、LinuxカーネルにRustコードを組み込むための作業を行っていましたが、既存のLinuxカーネル開発者と対立し、カーネルメンテナを辞任しています。
特に、Christoph Hellwig氏がDMA APIへのRustコードのアクセスに反対し、Linus Torvalds氏も、Martin氏に対して、ソーシャルメディアでの批判は解決策ではないと述べています。
How about you accept the fact that maybe the problem is you.
You think you know better. But the current process works.
It has problems, but problems are a fact of life. There is no perfect.
However, I will say that the social media brigading just makes me not want to have anything at all to do with your approach.
Because if we have issues in the kernel development model, then social media sure as hell isn't the solution. The same way it sure as hell wasn't the solution to politics.
Technical patches and discussions matter. Social media brigading - no than\k you.
もしかすると、問題は自分にあるのかもしれないと認めてみてはどうだろうか。
自分のほうが正しいと思っているかもしれないが、今のプロセスは機能している。
問題はある。しかし、問題というのは人生の一部だ。完璧なものなど存在しない。
とはいえ、ソーシャルメディアでの集団攻撃にはうんざりするし、そんなやり方には一切関わりたくない。
もしカーネル開発モデルに問題があるとしても、ソーシャルメディアが解決策になるわけがない。政治の世界で解決策にならなかったのと同じようにな。
技術的なパッチや議論こそが重要だ。ソーシャルメディアでの集団攻撃?そんなものはお断りだ。
Rustは安全なシステムプログラミング言語として人気を集めているものの、LinuxメンテナはC言語での開発に慣れきっており、Rustがもたらすメリットよりも相互運用性を提供するためのコストの増加が問題だととらえられたのかもしれません。
今後LinuxカーネルへのRustの導入が停滞することになるのか注目を集めそうです。
[via Ars Technica]