オープンソースのWebサーバー「nginx」の主要開発者の一人であるMaxim Dounin氏は2月14日、「freenginx.org」プロジェクトを発足したことを発表しました。
同氏はfreenginx.orgの意図を次のように説明しています:
As you probably know, F5 closed Moscow office in 2022, and I no longer work for F5 since then. Still, we’ve reached an agreement that I will maintain my role in nginx development as a volunteer. And for almost two years I was working on improving nginx and making it better for everyone, for free.
ご存知の通り、F5は2022年にモスクワオフィスを閉鎖し、私はそれ以来F5で働いていません。 しかし、nginx開発における私の役割はボランティアとして維持することで合意しました。そして約2年間、私は無償でnginxを改善し、誰にとってもより良いものにするために働いていました。
Unfortunately, some new non-technical management at F5 recently decided that they know better how to run open source projects. In particular, they decided to interfere with security policy nginx uses for years, ignoring both the policy and developers’ position.
残念なことに、最近F5の技術者ではない新しい経営陣が、オープンソースプロジェクトの運営方法について自分たちの方がよく知っていると判断しました。 特に、彼らはnginxが長年使用してきたセキュリティポリシーに干渉することを決定し、ポリシーと開発者の立場の両方を無視しました。
That’s quite understandable: they own the project, and can do anything with it, including doing marketing-motivated actions, ignoring developers position and community. Still, this contradicts our agreement. And, more importantly, I no longer able to control which changes are made in nginx within F5, and no longer see nginx as a free and open source project developed and maintained for the public good.
As such, starting from today, I will no longer participate in nginx development as run by F5. Instead, I’m starting an alternative project, which is going to be run by developers, and not corporate entities:
The goal is to keep nginx development free from arbitrary corporate actions. Help and contributions are welcome. Hope it will be beneficial for everyone.
それはよく理解できる。彼らはプロジェクトを所有しており、開発者の立場やコミュニティを無視して、マーケティングを動機とした行動をとるなど、何でもできる。 それでも、これは私たちの合意に反している。 そしてさらに重要なことは、私はもはやF5社内でnginxに加えられる変更をコントロールすることができず、nginxを公共の利益のために開発・保守されるフリーでオープンなソースプロジェクトと見なすことができなくなったということです。
そのため、今日から私はF5が運営するnginxの開発には参加しません。 その代わりに、企業ではなく開発者によって運営される代替プロジェクトを立ち上げます:
目標はnginxの開発を企業の恣意的な行動から自由に保つことです。 お手伝いや貢献は大歓迎です。 皆さんにとって有益なものになることを願っています。
nginxのサポートやエンタープライズ版の販売を行っていたNginx,Incは、2019年にF5 Networksに買収され、モスクワのオフィスは2022年に閉鎖されます。Maxim Dounin氏は以降、ボランティアとして2年間開発に携わってきたものの、最近F5の経営陣がプロジェクトの運営方法(特にセキュリティポリシー)に干渉してくるようになり、企業ではなく開発者によって運営される代替プロジェクトとして、http://freenginx.org/ を立ち上げたと説明しています。
freenginx.orgの目標はnginxの開発を企業の恣意的な行動から自由に保つことだとされていますが、slashdotには、今回の発表は、HTTP/3の実験的なコードのバグ修正について、経営陣と開発チームの間で意見の相違があったためだとの指摘もあり、背景にどのような事情があったのか外部からはわかりづらい状況となっています。