Googleは2月29日、「Do more with Chrome on a single charge on MacBooks(MacBookの1回の充電でChromeをさらに使いこなす)」と題したブログ記事を公開し、Chromeに施した4つの最適化によって、Chrome使用時のMacBookのバッテリー持続時間が、Safari使用時に匹敵する程に改善された事を明らかにしました。
Googleは2023年2月に、13インチMacBook Pro(M2/8GBRAM/macOS Ventura 13.2.1搭載)で、Chrome 110.0.5481.100を使用してテストを実施します。テストの結果「17時間ブラウジング、または18時間YouTubeを見ることができる」ことが確認され、これは、Appleのカタログスペックである「Webブラウジングは最大17時間、App TVアプリによる動画再生が最大20時間」に匹敵するほどの結果となっています。
ちなみに、Appleは以下の条件でテストを実施しています。
Testing conducted by Apple in May 2022 using preproduction 13-inch MacBook Pro systems with Apple M2, 8-core CPU, 10-core GPU, 8GB of RAM, and 256GB SSD. The wireless web test measures battery life by wirelessly browsing 25 popular websites with display brightness set to 8 clicks from bottom. The Apple TV app movie playback test measures battery life by playing back HD 1080p content with display brightness set to 8 clicks from bottom. Battery life varies by use and configuration.
Apple M2、8コアCPU、10コアGPU、8GB RAM、256GB SSDを搭載した13インチMacBook Proの量産前システムを用いて、2022年5月にAppleが実施したテスト。ワイヤレスウェブテストは、ディスプレイの輝度を下から8クリックに設定し、25の人気ウェブサイトをワイヤレスで閲覧して、バッテリー駆動時間を測定。Apple TVアプリケーションの映画再生テストは、ディスプレイの明るさを下から8クリックに設定し、HD 1080pのコンテンツを再生してバッテリー駆動時間を測定します。バッテリー駆動時間は、使用状況や設定によって異なります。
一方。Googleはオープンソースのベンチマークスイートを使ってテストを行い、「古いモデルでもパフォーマンスの向上が見られる」と説明しています。GoogleはChromeで、CPUのウェイクアップ頻度の低減や、メモリ圧縮のチューニングなど、以下の4つの変更を行ったそうです。
- 不要な再描画をなくす:ボットを使って実際のサイトを閲覧し、画面上のピクセルに影響を与えないDOM(Document Object Model)の変更パターンを特定。それらを早期に検出し、不要なスタイル、レイアウト、ペイント、ラスター、GPUのステップを回避するようにChromeを修正した。ChromeのUIの変更についても、同様の最適化を実施した。
- iframeのファインチューニング: 最近作成されたiframeのガベージコレクションとメモリ圧縮のヒューリスティックを微調整した。その結果、短期的なメモリ使用量を減らすために消費されるエネルギーが少なくななった(長期的なメモリ使用量には影響がない)。
- タイマーを調整する: Javascriptのタイマーは、依然としてウェブページの消費電力の大部分を占めている。そのため、Chromeでタイマーの起動方法を調整し、CPUが起動する頻度を減らした。同様に、不要になった内部タイマーをキャンセルする機会を特定し、CPUが起動する回数を減らしました。
- データ構造の合理化: 同じキーで頻繁にアクセスされるデータ構造を特定し、そのアクセスパターンを最適化した。
MacBook Pro/Airでバッテリー持続時間を重視する場合、これまでは、Appleの公式ブラウザのSafariが有利との常識がありましたが、今後はChromeを使っても遜色ない結果が得られるかもしれません。