M1チップを搭載したMacでは、仮想化ソフトウェア「Parallels Desktop」を使用し、macOSの仮想マシンを作成して実行することができます。
ただし、macOS仮想マシンの作成自体は簡単であるものの、使用する際にはmacOS仮想マシン特有の制限に注意する必要があるようです。
例えば、サスペンド/レジュームができない、スナップショットが作成できないなど、運用方法によっては致命的な制限も含まれています。
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まだ完成には程遠い状態か?
M1 Mac上Parallelsで動かすmacOS仮想マシンの制限については、公式サポートドキュメント「Known limitations of macOS virtual machines on Mac computers with Apple M1 Chip」(Apple M1チップ搭載のMacコンピュータにおけるmacOS仮想マシンの既知の制限事項)で詳しく説明されています。
この文書によると、Apple M1 Mac上のmacOS仮想マシンは、AppleのVirtualizationフレームワークを使用して構築されており、仮想マシンのすべてのコンポーネントがフレームワークによって管理されているとのこと。
この仮想化フレームワークが、初期段階にあるため、Intelプロセッサを搭載したMac上の、macOS仮想マシンで利用できる、多くの機能がまだ有効になっていないそうです。
主な制限事項は以下の通りです。
- サスペンド/レジューム: まだ使えない。
- 設定: macOS ARM VM設定を変更するインターフェイスが存在しない(歯車アイコンなし)。手動で変更する方法はこちら。
- スナップショット: まだ使えない。
- 共有フォルダ: ホストとの間のファイル共有はまだサポートされていない。
- 仮想Wi-Fiアダプタ: 仮想Wi-Fiアダプタは存在しない。
- USBデバイス: USBデバイスはまだmacOS ARM VMに接続できない。
- ディスクサイズ: macOS ARM VMのディスクサイズは60GBがデフォルト。インストール時に変更できるが、仮想マシン作成後は変更できない。
- Macの組み込みデバイス: macOS ARM VMは、ホストのマウスとキーボードにしかアクセスできず、DVDドライブやウェブカメラなどの他のデバイスにはアクセスできない。
- 起動オプション/リカバリモード: macOS ARM VMのスタートアップオプションにアクセスすることはできず、リカバリーモードやセーフモードなどの多くのオプションにアクセスすることができない。
- コマンドラインインターフェイスとSDK: macOS ARM VMは、Parallelsのprlctlおよびprlsrvctlコマンドラインツールや Parallels SDKからアクセスすることはできない。Vagrantのサポートもない。
- Apple ID: macOS ARM VMでApple IDを使用してサインインすることはできない。
- サードパーティアプリケーションとの互換性: macOS ARM VMのすべてのコンポーネントは、Appleの仮想化フレームワークによって管理されている。macOS ARM VMでサードパーティの互換性の問題が発生した場合は、Appleのサポートに報告する必要がある。
Appleの仮想化フレームワークが使われており、そのために制限が多数存在するようです。2022年後半にリリースされる予定の、macOSのメジャーバージョンアップ版「macOS Ventura」で問題が解決することに期待したいと思います。