Appleが審査したアプリだけを販売するMac用アプリの専門ストア「Mac App Store」。安全面以外でも、アプリの購入やインストール、アップデートが簡単であるというメリットが存在します。
ところが開発者側からするとMac App Storeがもたらすのはメリットだけではありません。
審査にかかる長い時間や、Mac App Storeのサンドボックスモデルの制限といった各種のデメリットも存在するため、あえてMac App Storeを使用せず、これまで通り独自にソフトウェアを販売する道を選ぶ開発者・開発会社が増加する傾向があるのです。
このたびMac App Storeからの脱退を決めた、ソフトウェア会社の一つ、Rogue AmoebaソフトウェアがMac App Store脱退による影響を明かにしたブログ記事「Making More Outside The App Store」を公開しています。
脱退の影響は皆無か?
ブログ記事では、同社が開発したPiezoを例にとりMac App Store脱退の影響を説明しています。オーディオ録画アプリのPiezoは2016年2月12日にMac App Storeから削除され、その後とりたてて宣伝されることもなく、同一価格でダイレクトセールに切り替えられました。
販売本数の推移を表すグラフでは、ストアからの脱退後グラフが全てダイレクトセールを表す青いバーに切り替わっていますが、販売本数自体はほぼ影響がないことがわかります。
当然ながら売上げグラフも同様の傾向となっています。このことからMac App Store脱退の売上げ面の悪影響はなかったといえそうです。
また、同様にMac App Storeから脱退したKapeliのDashも、売上げに影響がなかったことが判明しており、記事内部から引用されています。
Mac App StoreはAppleのためにある?
記事ではMac App Storeは、Appleが開発者側にサービスを提供するのではなく、開発者がAppleに対してサービスを提供しているものだとした上で、Piezoを削除することで、Appleに手数料を支払うことを止めることができたのに加え、開発作業を大幅に簡素化し、製品の品質を向上させることができたと結論づけています。
試用版の提供や、有料アップグレード機能など、開発者が求める機能がなかなか実装されないならば、今後もMac App Storeから脱退する開発者が増えていくのかもしれません。Mac App Storeの2017年の展開に注目が集まりそうです。