コンピューターを使って作業を行う場合、マウスやトラックパッドではなく、できるだけキーボードを使って操作することで、生産性を向上することができるといわれています。
OSやアプリには便利なショートカットキーが準備されていて、それらを覚えることでさまざまな操作を効率的に実行することができますが、残念ながらすべての操作をキーボードから実行できない場合もあります。
本日紹介する「warpd」は、そのような限界を突破する、どうしてもマウスカーソルを使って行わなければならない操作まで、キーボードを使って実行することができるオープンソースのユーティリティです。
warpdは、単にマウスカーソルをキーボードで動かすことができるだけでなく、「ヒントモード」や「グリッドモード」を使って、素早くカーソルを移動することができます。
作者のrvaiya氏はKeyboardioと呼ばれるキーボードに搭載されているKaleidoscopeファームウェアの機能に触発されてこのツールを作成したと説明しています。
以下使用方法を説明します。
warpdのインストール方法
warpdは現在、macOSとLinuxに対応していますが、実行可能ファイルは配布されていません。ソースコードからビルドする必要があります。
Debian/Ubuntuの場合以下のパッケージを事前にインストールしておきます。
sudo apt-get install \ libxi-dev \ libxinerama-dev \ libxft-dev \ libxfixes-dev \ libxtst-dev \ libx11-dev
macOSの場合、以下のコマンドを実行します。
xcode-select --install
warpdのソースコードをgit clone等でウンロードし、そのフォルダ内で以下のコマンドを実行します。
make && sudo make install
ビルドが成功しwarpdコマンドが所定の場所(/usr/local/bin)にインストールできたら完了です。
warpdの使用方法
ターミナルで「warpd」を実行します。自動的にバックグラウンドで動作します。
warpd
ヒントモードを呼び出すには「Alt+Meta+x」(macOSの場合、Option+Command+x)キーを押します。
▲画面一杯にaaからzzまでの文字が表示され、対応するアルファベットキーを入力すると表示が絞り込まれていきます。2文字入力するとマウスカーソルがその位置に移動します。
グリッドモードの呼び出しキーは「Alt+Meta+g」(macOS: Option+Command+g)です。
▲画面にグリッドが表示されます。u、i、j、kを使ってグリッドの範囲を狭めていきます(キーの位置が四角の位置に対応しています)。
ノーマルモードの呼び出しは「Alt+Meta+c」(macOS: Option+Command+c)キーです。
▲実行するとカーソルが緑に変わりhjklキーを使って移動することができます。
さらに以下のキーを使用することができます。
- m 左クリック
- , ミドルクリック
- . 右クリック
- v: ドラッグ
各種モードを使ってカーソル移動し、mキーをおすことでマウスクリックができるというわけです。その他のオプションはGitHubのmanページで確認可能です。
まとめ
warpdを使用すると、キーボードを使ってマウスカーソルを移動し、クリックしたりドラッグしたりすることができます。マルチモニターのサポートや、XinputやXtestを使用するプログラムで動かないなどの制限も存在しますが、PCの効率的な操作を極めてみたい方におすすめのツールです。