Microsoftは現在、再起動なしでWindowsを更新することができる「ホットパッチ」の開発を進めています。ホットパッチは従来の累積アップデートアップデートとは異なり、インストール時にPCを再起動する必要がありませんが、現時点では Windows 11 24H2 Enterprise エディションのみが対象で(KB5058497等)、ProやHomeエディションへの適用時期は未定です。
このホットパッチの仕組みに関してWindows Latestが詳しい情報を提供しています。
記事によると、ホットパッチは修正が必要なコードのみを更新し、稼働中のメモリ上で変更を反映。その結果、再起動なしで更新を完了できる仕組みになっているそうです。
Windowsはシステムの重要な部分をメモリ上に保持しており、通常のアップデートではこれらの部分が変更されるため再起動が必要となります。
対して、ホットパッチは、問題のあるコードのみを修正し、その小さな修正を適用するための「マッピングデータ」も含んでいます。このマッピングデータによって、Windowsは「どの部分を変更したのか」を記録することができ、既存のコードをアンロードせず、新しいコードを「上書き」する形で適用できるため、Windowsを再起動する必要がありません。
ホットパッチは以下のように適用されます
- Windowsが稼働中に、修正されたコードをメモリの空いている領域(予備のメモリページ)に配置する。
- 実行中のプログラムは古いコードではなく、新しい修正されたコードを参照するように変更される。
- 修正されたコードをディスクにも保存しておくことで、次回の再起動時にも変更が維持される。
ホットパッチのスケジュールは?
ホットパッチは 毎月提供されますが、四半期ごとに配布される「ベースラインアップデート」を適用した際には、再起動が必要となります。ベースラインアップデートには新機能や過去の修正が含まれるため、完全なシステム更新のために再起動が必須となります。
四半期 | ベースラインアップデート(再起動必要) | ホットパッチアップデート(再起動不要) |
---|---|---|
1月~3月 | 1月 | 2月、3月 |
4月~6月 | 4月 | 5月、6月 |
7月~9月 | 7月 | 8月、9月 |
10月~12月 | 10月 | 11月、12月 |
例えばKB5058497は 2025年5月13日に配信され、ホットパッチ期間中の更新であるため再起動が不要となっています。Windows Updateの履歴を見るまで気付かないほどスムーズに適用されるとのことです。
現在、この機能は EnterpriseおよびServerエディション限定であり、Windows 11 ProやHomeユーザーは引き続き従来通りの再起動が必要なアップデート(KB5058411 など)を受け取ることになります。ホットパッチは煩わしい再起動が不要となる夢の技術ですが、仕組みが複雑な分、一般ユーザーが利用可能になるまでもう少し時間が必要なのかもしれません。