
Windows 11向けのモダン版メディアプレイヤーに、6月12日のInsider向けアップデートで複数の改善が入りました。しかし、実際の使い勝手やパフォーマンスを見ていくと、17年前のレガシー版メディアプレイヤーのほうが依然として高速で軽量という、皮肉な状況が続いています。
組み込みアプリの更新
今回のアップデートでは、メディアプレイヤーアプリにいくつかの改善が加えられました。
主な改善は次の通りです。
- 字幕のカスタマイズが可能に: 字幕の見た目がWindows本体の字幕設定と連動するようになり、フォントサイズや背景色などの調整が反映されるようになりました。
- ライブラリの「インデックス中」を明示: メディアライブラリを読み込み中で一部のファイルが表示されない場合、キューに「インデックス中」バナーが表示されるようになりました。
- 再生エラーの減少: ファイル形式の判定精度が改善され、以前は誤判定で再生できなかったファイルが正しく再生される可能性が高まりました。
- プレイリスト保存時に名前が必須に: 無名プレイリストが作れなくなり、ライブラリが整理しやすくなりました。
- 再生キュー編集時のクラッシュ修正: セッション切り替え時にクラッシュする問題が解消されています。
- コーデック不足時のメッセージをより分かりやすく: 「何が足りないのか」が分かりやすいメッセージに変更されました。
細かなUI修正も含め、全体としては堅実な改善が続いています。
最大の問題は「パフォーマンス」──旧版のほうが圧倒的に速い
Microsoftは「メディアプレイヤーの開発は止まっていない」と説明していますが、ユーザー体験の核心である起動速度と軽さは依然として課題のままです。
Windows Latestは、動画ファイルを開く際、モダン版のメディアプレイヤーは起動に数秒かかるのに対し、レガシー版メディアプレイヤーやVLCは即座に再生が開始すると指摘しています。
また、アイドル時のメモリ使用量は、モダン版が約377MBだったのに対し、レガシー版は約103MBと、約3.5倍の差があることも確認しています。新Outlookが旧Outlookより重いという構図にも似ており、Microsoftのモダンアプリは重いという問題がまた一つ露呈した形です。
HEVCは有料問題も
パフォーマンスだけではなくコーデック対応の弱さも大きな問題です。
特に深刻なのがHEVC(H.265)で、iPhoneや多くのAndroidが採用している形式ですが、モダン版メディアプレイヤーでは標準で再生できません。再生するにはMicrosoft StoreでHEVC拡張を購入する必要があります。

MicrosoftがHEVCの特許料を支払う必要があるという事情はあるものの、スマホで撮った動画を再生するだけで課金が必要という体験は、Windowsユーザーとっては不親切です。
今後への期待:WinUI化で軽量化は進むのか
Microsoftは現在、Windows 11のネイティブUIフレームワークとしてWinUIを推進しており、メディアプレイヤーも将来的にWinUI化される可能性があります。
これが実現すれば、起動の遅さやメモリ使用量の多さが改善される可能性はありますが、コーデック問題を解決しない限り、ユーザーがVLCやMPVに流れる状況は変わらないかもしれません。
